治療打ち切りについて
打撲、むち打ち、骨折等の症状の場合、1月、3月、6月の治療期間で相手方損保が治療費と休業損害を打ち切ってくる場合があります。
1.医師を変えること
このようなことが行われる理由として、医師が交通事故患者に対して理解がなく(嫌がっていて)、治療も投薬もリハビリも漫然と行っているだけで、保険会社から、
「治療効果が出ていないようですので、もう治癒したのでは」
「もう固定では」と言われて、
それに対して、
「治療効果が出ているので、もう少し治療を続けるべきである」
としっかり反論してくれない、という場合が多くあります。
その結果、保険会社から医療費の支払いを止められ、それら交通事故に理解がない医師は、健康保険では診療したがらないので、固定にさせられてしまう、ということが起こります。
その結果、6か月しないで固定にされてしまうと、後遺障害がつかないことになってしまいます。
また、治療期間が6か月あったとしても、同じ痛みが残存した障害について、医師がどのように治療に関わってくれるかで、後遺障害が付いたり、付かなかったりします。
ですので、まず一番大切なことは、交通事故に理解がない医師だと感じたら、出来るだけ早い時期に医師を変えることです。
検査をしっかりとしてくれる、自覚症状をカルテにしっかり記載してくれる、治療方法もいろいろと工夫してくれる、保険会社の盾になってくれる医師を選ぶべきです。
当事務所では、これまでの経験から、交通事故に理解がある、各所の医師の名簿をもっています。是非、ご一報ください。
ただし、ご紹介は当方が受任することを前提とさせていただいており、原則として弁護士費用特約がご利用頂ける方を対象としています。
2.6か月は治療費を支給してもらう工夫がある
医師がしっかりと保険会社と対応してくれれば、保険会社が治療費を止めてくることは少なくなりますが、それでも零とはなりません。
そのような場合は、まず、治療期間が6か月未満の場合、症状固定になっても後遺障害がつきませんので、保険会社に、
「もう固定です。後遺障害を付けて下さい」と言われたら、
「6か月は通院しないと後遺障害がつかないはずだから、固定とするのはおかしい」
と反論して下さい。
これでかなりの保険会社は6か月は固定を待ってくれるはずです。
それでも、保険会社が、「固定にする」と固執したら、損保ADR(TEL:0570-022805)に連絡を入れてみてください。
同所は、損保協会が行っている裁判外紛争解決機関で、損保会社自体が母体になって運営しています。
そこは固定前の損保との調整を行っている唯一の機関ですので、
「6か月は通院しないと後遺障害がつかないはずなのに、●●損保は、固定とするといっている。これはおかしいのではないか」と申告下さい。
これで6か月は治療できるようになることが多いと思います。
この点、弁護士が関与すれば治療費を止めるのを待ってもらえるのではないですか、とよく聞かれるのですが、現実は逆で、弁護士が付いたとわかると治療費を止めてくることが多くあります。
それはそのようにしても、弁護士がいるので被害者の方が「騒がないであろう」と、保険会社が甘く見るからで、当事務所は着任しても相手方損保にはなるべく受任の連絡を入れないようにしています。
また、弁護士費用特約の会社と加害者の損害保険会社が同一の場合、弁護士費用特約を利用して受任を進めてしまうと、加害者の損保会社にも連絡が行ってしまうことがあります。
そのような場合、当事務所では着任の時期を遅らせるサービスもしております。
このようにして、6か月以上は治療費を出してもらって下さい。
3.それでも治療費打切りになったら
それでも6か月未満で治療費が打切りになった場合や、6か月を経過して治療費が打切りになった場合で、まだ痛みが残っていて、医師に通院した方がいいと言われている方は、健康保険を利用して治療を継続下さい。
固定にしてしまうと、相手方に一切医療費を請求できなくなります。
健康保険であっても、医師の診断のもと治療を継続すれば、後日であってもその分の治療費と休業損害を請求することができることが多くあります。