弁護士法人ウィズの弁護士岡崎秀也です。
本コラムでは最近のニュースについて,法律的に解説します。
契約で決めても,守られないことがあるの?(13)
信義則から派生する4つの原則の説明をしていきます。
① 禁反言の法則(エストッペルの原則)
前の行為に矛盾した行為に保護を与えない。
例:債務者が、債務について消滅時効が完成した後に債務の承認をした場合は、その後に時効消滅を主張することはできない。
具体的にいうと、
ある人が100万円借りていて、10年が経過しました。
10年が経過したことをうっかり忘れて貸主さんに道で会ったときに
申し訳ない、あの100万円はもう少ししたらお金ができるので返せますから、
もうちょっと待ってください。
こういうふうに債務の承認をしてしまった場合、
その後に、10年過ぎているから時効が完成しているじゃないかと気がついて、
あの話はなしですよ。消滅時効が完成しているから返せません、といっても、
それに対して保護を与えない。結局、お金を返さなければならない
というようなことが認められています。
ですので、前の行為に矛盾した行為は保護されない場合があるということです。