弁護士法人ウィズの弁護士岡崎秀也です。
本コラムでは最近のニュースについて,法律的に解説します。
契約で決めても,守られないことがあるの?(18)
前回、客観的利益衡量の観点からは反社会性はないので、
権利濫用の主張はおそらく認められないだろうとのことでした。
さらに信義則の主張を見ていきます。
日大が20年で契約終了,50億円の保証金返還を主張するのは,
30年継続を前提に区が賃料の減免など88億円超の支援したこと照らせば信義則違反である。
これをどう考えるか。
日大は経営赤字の連続。
区からすると日大は,30年を前提に88億円超の支援を受けているのですから、
当時は30年でいいと言っていたのに20年を主張するのは前の行為と矛盾している。
これは禁反言の原則から無効ではないかという主張。
日大からすると,経営赤字が続いて契約時の社会的事情や基礎事情に著しい変化が生じているということで
事情変更を主張。
つまり区の禁反言の原則の主張につていは、
日大にも事情変更を主張できそうですので、
そうすると区の一方的な主張を通すわけにはいかないというふうに思われ、
区の主張はいずれも決定的でなく権利濫用も信義則も認められないだろうという形で
裁判所もこれを認めなかった。
これを前提にすると、区はどうすればよかったのか。区は保護されないのか。
これについては次回、解説いたします。